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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
「どれ、僕はひきあげて、今夜は詩でも作るかな。醜婦のために」
「待ちなさい。ちょッと散歩しましょうよ。いや? 厭じゃないでしょう」
「決して希望はしていないね」
「こっちの庭はダメ。ピカ一さんがどこかでビールをラッパのみにしている筈だから。こっちの方から、ブナの杜へでましょうよ」
と、千草さんは戸棚のヒキダシから懐中電燈をとりだして、高飛車にセムシ詩人をうながして、食堂の出入口から外へ消えた。
「イヤらしい」珠緒さんが吐きすてるように呟いた。
「なかなか可憐じゃないですか」
と、神山東洋。彼でなければ、不快な意味が目に見えているこんな時に、言葉をさしはさむ者はない。
「あれが可憐というの? 可憐とは、どういう意味のことなのよ。千草さんは美人なみに、男をあやつッてみたいのよ。セムシ詩人なら、あやつれるというツモリでしょう。あれで女王のつもりなのだから。なんてまア汚らしい。孔雀の羽をつけた烏だって、まだ、ましだわね」
女という人種は意地の悪い観察にかけては天才なのである。美しいものよりも、汚らしいものの方がはるかにハッキリ目につくものらしい。珠緒さんは先刻から相当酒をのんでいる。