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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

昨年死んだ母が、神山を毛虫のように厭がっていました。嫌い方が尋常一様のものじゃないので、もしや母についての秘密じゃないかと思ったこともあったけれども、みんな僕の想像で、ともかく僕の親父は相当に策略的な政治生活をやっていたから、ユスリの種は相当あるのが当然で、子供の僕が、それをたって訊きただすわけにも行かないから、きいてみたこともなかったのです」

「時々やってくるのですか」

「年に四、五回はくるでしょう。昔父の愛妾だった今の妻君、昔は新橋の芸者でしたがね。いつもそれをつれて堂々とやってきて、我家同然数日泊って行くのですよ。そういえば、昨年母がなくなる二、三日前にもやってきて、偶然臨終にぶつかったのですが、死ぬ前の日、病床の母と人を遠ざけて言い争っていたという事もきいております。だからユスリの種は父だけじゃなしに、母を通して父、そんな風な事もあるのじゃないかと想像した事もあるのですが、これも単に僕だけの想像なんです」

私はあやか夫人のパジャマが、あんまり華麗なので呆気にとられていた。それは最も手のこんだ衣裳の一つで、支那服に西洋風な加工をほどこしたような、そして色彩の組合せに微妙な技巧が施されていた。