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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页
枯れたトウモロコシの茎が二三本、なにかの印のように立つているだけである。今日、生死不明のまゝ、彼の思い出に生きている人物の名前は、一人や二人ではない。しかし、ある程度心をゆるしたといえる通称「バイロン」の名を、いつまた呼ぶことができるか、京野等志は、万感交々いたるという面もちで、もういくらか白んで来た星空を仰いだ。
彼は、いつの間にか、省線の電車道を伝つて、西へ進んでいた。
が、この時、彼の東を電光のようにかすめた、ひとつの幻影に、彼は思わず立ちすくんだ。
高円寺が大部分焼けたという話は聞いていたが、その高円寺がもうすぐそこだと気がついた時、彼は、応召間ぎわまで往き来していた一人の女性、実は、この七年間、文字どおり夢にまでみつゞけた味岡小萩の家が、ひよつとすると残つていはせぬかという好奇心が、激しく彼をゆすぶつたのである。
たとえ七年前はどうであろうと、別に固い約束を交した間柄でもなく、最初の一年間はほとんど月になんどという割合で便りや小包が届いたのに、二年目からはぷつつりと音沙汰がなくなり、こつちからの手紙も梨のつぶてというかたちになつてしまつた。