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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

「真喜をくれつていうんでしよう。どうして、大笑いなんです」

「おや、兄さん、それを知つてるの? だつて、真喜が帰つてから、お父さんがその話をなさると、あの娘、なんて言つたとお思いだい?」

「真喜がですか? さあ、ちよつと面喰つたでしよう」

「それどころじやないんだよ。いきなり、プッつて、吹き出すんじやないの」

京野等志は、それでだいたい、想像がついた。

翌朝、食卓につくと、真喜はもう、さつぱりと化粧をとゝのえて、なにごともなかつたように、旺盛な食欲を示していた。

多津が、いくぶん寝不足らしい眼を、ときどき妹の方に向けて、洋服地の値段の話などしかけるのを、真喜は、興味がなさそうに、生返事をしている。

父が突然、誰にともなく、こんなことを言い出す――

「縁談の申込みというやつは、これで、なかなか微妙なもんだ。然るべき仲人を立てるのが順序ではあるが、当人がじかに先方の父親なり母親なりにぶつかるというやり方も、時には、ざつくばらんで、面白いことがある。それで成功した例も、珍しくはないが、ちよつと自信がないと、できん芸当だな」

みな、黙つていて、なんの反応もない。