轻松读懂日语经典作品
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页
真喜が言つた。
「新婚旅行に来た時、うんと嘗めさせてあげるよ」
と、京野等志はいつた。
「なるほど、蜜月旅行だ、それこそ……」
南条己未男が、すかさず口を挟んだ。
二人は、やがて、もう、帰ると言いだした。京野等志は、別にそれをとめようともしなかつた。
「そうか。なんにもおかまいできなくつて……。小萩からよろしくつていうことだつた」
とつさに口に出た、言わば儀礼的な挨拶であつた。
「じや、ご機嫌よう、兄さん……。お二人のご幸福を祈つてるわ」
と、真喜が、快活に言つた。そして、いくどもうしろを振りかえりながら、南条己未男の腕をとつた。
京野等志は、返す言葉もなく、この小鳥のようにはしやいでいる妹の後姿を、じつと見送つた。なんだか、いまいましいような気もする。だが、それと同時に、はじめて、七年前のあの無邪気な、人懐こい妹にめぐり合つた思いで、胸がじいんとするのであつた。この一年あまり、同じ屋根の下で暮していた時分の、どことなく刺々しい、つねに反抗的な身構えで誰にでも突つかゝろうとした彼女の態度は、まつたく今はみられず、たとえずけずけ物を言うにしても、ヒステリカルな暗い影などは、露ほどもないのを、彼は不思議に思わないわけにいかなかつた。