轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
前編「椿 創刊号」山本周五郎一人雑誌、1946(昭和21)年7月<br>中・後編「新青年」1949(昭和24)年1月~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,300 字 · 202 页
「もうたくさんよお祖父さん、そんなに気を疲らせては病気に悪いわ、過ぎたことは過ぎたことじゃないの、それよりこれから先のことを考えましょう、あせらずゆっくり養生すれば、お祖父さんだってまた仕事ができるようになってよ、二人で稼げば暮しだって楽になるし、ときにはいっしょに見物あるきだってできるわ、今年は忘れずに染井の菊を見にいきましょうよ」
「ああそうしよう、おせん、見せる見せるといって、ずいぶん前から約束ばかりしていたからな、そうだ今年こそきっと見にいこう」
けれども菊見にはゆけなかった。悪くはならないが、左半身がいつまでもはっきりせず、とうてい遠あるきなどできなかったから、……利くという薬はできる限り試してみた、加持も祈祷もして貰った、「夏に出た中風は霜がくれば治るものだ」そう云う人が多いので、おせんも源六もひそかにそれを楽しみにしていたが、霜月がきてもそんなようすはなく、やがて十一月も終りに近くなった。
その月は二十二日の夜にひどい地震があって、小田原から房州へかけてかなり被害があり、江戸でも家や土蔵が倒れたり崖が崩れたりした。深川の三十三間堂が倒壊し、大川は一夜に四たびも潮がさしひきした。