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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

年をおとりになっているわねえ。

周子さんは和服より洋服がすっきりしてきれいよ、和服は妙にごてごてにきるもんだから。赤い色(日本風の)が似合わないのに、日本の服は年で紅さを氾濫させるでしょう、顔が変に重くるしくなってしまうのよ。平凡な服をさっぱりきていてよかったわ。ああいうことでも働いている女のひとには活々したところがあって、大まかのようでいてなかなかつましいのよ。都会の暮しかたをすっかり身につけていて、生活力があるわ。姉さんは、あれはもっとちがった人らしいことね、写真で見ると。美しいと云っても弱々しく、つまらない美しさね、湧き出す力が全くないのだから女優として駄目だったのは当然です。小林一三のおめがねもあの位なのかと、人物評論的おもしろさを感じました。

叢文閣の本ね、きょうで完了よ。この人は、面白い本をかきますね、何というのかしら、大抵のひとは事実をその関係で示し語るだけだのに、この人はその関係のなかにしんからの理解をもっていて、展望の結果の面白さを自分でも十分感じていて、その感じが、本の云うに云えないニュアンスとなっているのね。つまり人間としての情熱が感じられるのね。