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どうひょう
道標
宮本 百合子
第一部「展望」筑摩書房、1947(昭和22)年10月号~1948(昭和23)年8月号<br> 第二部「展望」筑摩書房、1948(昭和23)年9月号~1949(昭和24)年5月号<br> 第三部「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年10月号~1950(昭和25)年2月号、1950(昭和25)年4月~12月号<br> 資料「展望」筑摩書房、1949(昭和24)年8、9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 846,457 字 · 1672 页
スモーリヌィの白黒の女は、なお自分に求められている婦人部の活動についての説明は回避して、自分の知らない未開地の状況の報告でもきくように、日本では女子のための大学があるかなどと質問をつづけた。
ますます焦れて来た素子がいまにも日本語で、こんな女を対手にしてたって仕様がないよ、とでも云い出しそうになったときだった。伸子たちが入って来た廊下の方のドアが勢よくあいた。そして、白い木綿のちょいとした半袖ブラウスの上から、鼠色地にこまかい更紗模様のあるサラファンを着て、クリーム色のプラトークで陽気に頭をつつんだ血色のいい大柄な女が入って来た。窓ぎわにいる二人を認めると、
「――わたしどものところへのお客様ですか?」
こだわりのない足どりで真直伸子たちに近づいて来た。
「こんにちは」
太くて力のある手で握手しながら白黒の女と伸子たちとを半々に見た。
「どちらから?」
白黒の女は、椅子から立ち上りながら、
「わたしたちの主任です」
伸子たちにそう告げて、サラファンのひとに向って伸子たちが日本の婦人作家であること。ヴ・オ・ク・スから紹介されて来ていること。婦人部の仕事について学びたいと云っていることを報告した。