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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁
卑下と弱味
けれど彼には、ゆうべの純友たちのことばが思い出されて、感涙よりは、おかしさが、こみあげていた。
卑下と弱味
彼は、主家から、青い狩衣を、賜わった。
遠侍や、召次の士に、取立てられると、みな、その色の物を着るのである。
服色によって、人の位階や身分が、一目で分る時代なのだ。青色階級の若侍は「青侍」とも呼ばれていた。後世の、“青二才””や“あいつはまだ青い”などという言葉の起原かと思われる。
時に、相馬の小次郎は、二十二歳。――上京遊学してから六年目、とにかく、忠平にやっと知られ、その一人となったのである。充分、まだ青くさかったには違いない。
――その年。秋も暮れる頃である。
左大臣家の裏の河原で、口笛が聞えた。小次郎は、すぐ邸内から顔を出した。
もう、人は見えなかったが、いつもの所に、紙きれが、草の穂に、縛ってある。八坂の不死人からの連絡である。――彼は、あれ以来、その不死人とも、藤原純友たちとも、水魚の交わりをつづけていた。
(たそがれ、八坂ノ塔まで参られよ)
文面は簡にして明だ。彼は、約をたがえず、出かけて行った。手下が立っている。そして、黙って、彼を、八坂からもっと奥の――祇陀林の一寺院まで、連れて行った。