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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁
常陸入り
むしろ、野望満々たる人物です。けれど老獪ですから、将門のような下手はしません。――将門に、野を焼かせ、芦を刈らせておいて、後から、麦や麻でも植えようと考えているのが、藤太秀郷であると――私は見ました」
「怖ろしい人物だな。ちと、小気味の悪い……」
「それ程な者でなくては、味方に寄せても寄せ効いがありますまい」
「それはそうだ……。相手は将門だし」
常陸入り
事態は、こういうところまで、密々に進んでいたのである。
そして貞盛は、常陸から山越えをしては、幾たびか、下野の田沼へ往来していたのであったが、将門方には、まだそれまでの機密は探り得ていなかったらしい。
玄明にしてもそうである。
彼の齎した情報そのものが、極めて不充分なものだったし、それに玄明自身、うしろめたいものがあるので、そのいいつくろいに、強いて、事実を歪曲している傾向もある。
だが、不死人にすれば、何はともあれ、おもしろくなって来た。思うつぼへ向いて来たといってよい。
「不意をついて、相手の狼狽のうちに、虚実を見る、という計略でしょう。ひとつ常陸へ乗り込んでみようではありませんか」
その年の冬、十一月のことである。