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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

元祖関東者

――どうせの事、もう三人も、若いのを、連れてゆけ。むかしは知らず、今は南海の純友が、東国の平将門へ貢するのに、(何だ……)と思われては、おれの面目にもかかわる、となったのだ。

女人の貢とか、女人の贈りものとか、女を物質視する風習は、その頃の人身売買を常識としていた世間では、ふつうの事としていたのである。純友は、莫大な物代を払って、江口の妓三名と草笛の身を、不死人に托し、そして将門へ一書をしたためて、持たせてやった。

それから幾日かの後。

不死人は、妓たちを、駒に乗せ、自分も馬の背にまたがり、陸奥の商人が国へ帰るものと称えて――手下の禿鷹、蜘蛛太、穴彦などに馬の口輪を持たせ、都から東海道を下って行った。

元祖関東者

妓たちや不死人が、旅の木賃を重ねて、ちょうど、富士の降灰が雪のように降りしきる秋の武蔵ノ原を行く頃――折ふし将門は、他へ、旅に出ていて、石井ノ柵にはいなかった。

武蔵ノ国の府中へ出向いていたのである。

弟の将頼、将文を留守におき、自身は将平以下、一族郎党を数多ひきつれて、深大寺の境内に、宿営していた。

この物々しい行装は、まるで出陣のような兵馬だが、将門としても、それだけの用意をもたなければ、出向かれない危険を感じての事である。