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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁
鬼哭
……あ、兄者人を、どこか、よそへ、担いで行ってくれ」
鬼哭
たれか、密告した者が、あったのかも知れない。
羽鳥の良兼は、将門の妻子が、湖上の苫船に、潜んでいるのを、ついに、何かの手懸りから、知ってしまった。
すでに彼は、豊田郡の本拠を、占領して、狼藉、掠奪、破壊、やりたい放題なことはやった。
しかし、彼の本来の目的は、それにあるのではなく、じつに将門の首を見ることにあるのだ。
かんじんな将門を逸したことは、良兼にとって、なお一抹の不気味をのこしている。いつ彼が、兵を糾合して、報復に出てくるか分らないし、何よりは、筑波羽鳥の自分の留守が、不安になった。
「もういい。ぞんぶん、腹は癒えた。ひとまず、羽鳥へ引揚げよう」
凱旋の途中で彼は、将門の妻子の居場所を知ったのである。で、そのため急に、道を変えたのだ。鴻野、尾崎、大間木、芦ヶ谷と水路に添って来るうち、ふと、湖の東岸に近い芦の中に、三艘の苫船が、舳を入れているのを見つけた。しかも、その一艘の苫には、嬰児の褓が干してあった。
「あれへ、射込んでみろ」
良兼は、兵に、弓を揃えさせた。
数百箭の矢かぜが、一せいに、苫へむかって、放たれた。