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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

富貴と積罪

富貴と積罪

常陸も北と南では、かなり季節がちがう。

石田の館は、南常陸にあった。

二月。筑波の風はまだ冷たいが、宏大な館の築土にも、中門の籬にも、紅梅白梅がもう綻んでいた。

大掾国香は、朝から機嫌である。蓬莱の翁のように、白髪ながらきれいに櫛を入れて結髪もし、直衣の胸にも白い疎髯を垂れている。烏帽子、衣紋も着崩さずに、なにかと、客待ちのさしずをしていた。

やがて、家職や侍たちが来て、準備の出来たことを告げると、

「そうか。客門の辺りばかりでなく、客人の駒をつなぐ厩なども清めたろうな。厩の不精ッたいのは、嫌なものだ」

「藁一つ散らしてないように、清掃しておきました」

「よし、よし。……もうやがてお見えだろう」と、幸福そうに老眼を皺めて恍惚と庭園の春日に眸を細めた――。

「右馬どのには、何しておられるか」

「今し方、お湯殿を出られ、御装束更えを遊ばしていらっしゃいます」

「すっかり、都風よの。あれもなかなか洒落者ではある。支度がすんだら、客人たちのお見えになるまで、これへ来て、父と話さぬかというてくれ」

右馬どのとは、自分の長男、さきの常平太貞盛をいうのである。