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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

悪罵宴

悪罵宴

酒を振舞え、酒をおごれ、と仲間たちからせびられて、不死人と呼ばれていた大男は、腰の革ぶくろから、銭をかぞえて、投げてやった。すると、一人はたちまちどこかへ走って行き、やがて素焼の酒瓶をかかえて来て、

「さあ、豊楽殿の、おん酒宴としようぜ」

と、さらに車座を、睦み合った。

「待て待て、すこし火が、不景気になった。薪はねえか」

「なに、薪か。薪なんざ、あんなにもある」

伽藍を指さした一名の者は、立ちどころに、そこの廻廊へ上がって、すでに壊れている勾欄の一部をもぎ取り、また内陣から、経机だの、木彫仏の頭だのを抱えて来て、手当り次第に、焚火の群へ、投げやった。

「ほい。まだあるが」

「もう、たくさん、たくさん」

かくて素焼の瓶から、どろどろした液体を、酌ぎ交わし、飲み廻している程に、ようやく、火気にあぶられた手脚のさきにまで、酒がまわり始めたとなると、彼等の卑猥に飽きた話ぶりは、一転して、胸中の鬱憤ばらしになってきた。

小次郎は、不死人のそばに、ぴったりと寄せつけられて、立ちも逃げもできないように置かれていたので、ただぽかんと、この光景を見ていたが、彼にとって、実にびッくりさせられたことは、この連中が、時の大臣であろうが、親王、摂家の高貴であろうが、片ッぱしから、穀つぶしの、無能呼ばわりして、まるでそこらの凡下共