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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

人心、恟々などというも、おろかである。暴動が起らないのは、暴動を起すほどな数がみな、飢え臥しているからで、元気な者は、群盗と化し、夜々の洛内を、荒し廻った。

こういう世態のうちに、醍醐天皇は、崩御せられ、まだ八歳の朱雀帝が、皇位につかれた。――左大臣、藤原忠平を摂政として。

改元して、承平元年。――春になっても、京師の群盗横行はやまなかった。

その中に、不死人や、八坂の一味共が、ありやなしやも分らない。うわさに依れば、公卿朝臣の家人すら、それらの仲間にいるという。

にも関わらず、小一条の大臣の館では、盛大な、摂政就任の祝いが、三日にわたって催され、それをしおに、諸家の権門でも、春の淡雪に、また、春日の花に、巷をよそな管絃の音がもれはじめた。

「世の中が、分らなくなった。いちど、元の坂東平野へ帰って、弟たちの顔も見たり、父の遺産も整理して、郷土で終るか、なお都で生きるか、考えてから、人生を出直そう」

滝口の小次郎は、今年になって、こう決心した。

そこで、官を辞し、都門を去って、十三年ぶりで、郷里下総の豊田郷へ、二十九歳で帰って来た。

旧山河

富士は富士のままである。