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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

野霜の具足師の家へ来て、それを将門の行為ときめ、人非人だと罵ったのは、源護の嫡子の扶であることも、梨丸は聞いていた。その通りを、将門に告げた後、梨丸は、なおいった。

「そんな、ばかな事はない。まるで、嘘ッぱちだ。羽鳥の奴らが、それほど疑うなら、なぜ豊田の館へ見に来ないか。見にも来ないで、何をいうか。――と、私は思うさま、野霜の家で、怒鳴ってやりました。が、そこの翁や媼も、そうであろ、そうであろと、共々怒っておりました。お娘御の、桔梗さまも泣いていました。……残念です。この間も、無念でしたが、きょうは、それにもまさる口惜し涙をのんで帰りました」

将門は、黙然と聞いているだけだった。

――余り気にもかけないのかと、梨丸は、木像のような主人をふと見上げた。怒気とも、泣き顔ともつかない面色が、そこにあった。梨丸は、後悔して、口をとじた。そして涙を抑えながら、主人の前に俯向くと、木像の両眼からも、たらたらと、二すじの涙が垂れた。

黙然人

ある期間、自分だけに誓って、黙々と馬鹿みたいになって働く――ということは、真面目な人物がよく思い立つことである。

一種の自虐だが、当人には、人の窺い知れない自悦もある。