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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

それも、それをやる者の如何にもよるが、常陸源氏の嫡子や二男三男らが手を下すならば、周囲や近国でも、その成敗に、苦情をいい出す者はあるまい。国司ノ庁などは、どうにでも動く。――また、中央の聞えは、自分が、都へ帰った上、先手を打って、予備工作にかかればよい。

貞盛も、そんな意見を出した。知性的な態度の彼からそういわれると、扶たちは、自己の考えに、なお確信をもった。殊に、中央の工作を、貞盛が受け持ってくれるとあれば、――と、それも大きな力とした。

とにかく、その夜、一つの密謀が、かためられた事は、確かである。――久しく都にいて、めったに帰省しない貞盛が、居合せたことも、後に思えば、宿命的であった。

その貞盛は、やがて、都へ帰った。

三月から四月への、坂東一帯の春の野の麗かさは言語に絶える。自然美の極致を、際涯なき曠野の十方に展くのである。

将門は、そうした自然に身まで染まって、相変らず、家人奴僕を督励して、働いていた。

わけて、恋人を妻として、館の一棟に、その桔梗の前と、蜜のような楽しい新家庭を奏でてからは、なおよく働き、よい良人になろうとしていた。

すると、五月の初旬。