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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

――何百年、何千年、今夜のような業火をくり返して、ここの土が、ほんとに、禍いなく安楽に住める土になることやら? ……。到底、限りある命では、それは見極め得ないものを、わしは余りに長生きをし過ぎたようだ」

八十をこえた老臣は、さして烈しい感情に衝かれることもなく、また、折々に、桔梗のそばへ戻って来て、

「まだ、お館様は、必死に、御合戦と見えまする。敵を追いしりぞけて後、かならず、お見え遊ばしましょう。余りに、お気づかいなされると、和子さまの、お乳の出にも障りましょうず。何事も運命におまかせあって……」

と、落着き切った語調で彼女の暴風のような不安をなだめていた。

そのうちに、負傷した味方やら、防ぎ口を破られた人々が、いい合せたように、この大結ノ牧へ、逃げ退いて来る。

やがて、将門も。また将頼、将平たちも、「残念だ」「無念だ」と、口々にさけびながら、雪崩れ合って来た。

「こうなっては、一時、ちりぢりに身を潜めて、再挙を図るしかありません。兄者人は、お体もすぐれぬ御様子ゆえ、どうか、ここを落ちて、御養生に努めてください」

彼の弟等も、老臣の経明も、また主なる郎党にしても、すべてが、それを目睫の急として、