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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

金殿玉楼の栄華が楽しいか、土を巣にして、魔魅跳梁の世渡りが楽しいか、おれたちは、楽しみ競べをしてみる気なんだ。そこで、仕事の重宝に、てめえぐらいな童がひとり要り用なんだ。恐くはあるまい。こう見えてもみな、ほんとは、いい小父さんばかりだから、そうジロジロひとの顔を見ることはないよ」

彼がまだ、いい終りもしないうちだった。真向いにいた禿鷹が、ぎょッと、突き上げられたようにひとり起ち上がって、

「変だ。やっぱり……、何か、おかしい?」

呟くのを、みな見上げて、

「禿鷹。なにが、いぶかしいんだ」

「おれの勘は、迅風耳だ。……たしかに、遠くから、官馬の蹄の音がしてくる」

「よせやい、おい。いやだぜ、おどすなよ、禿鷹」

「いや! もう近い。来たぞ」

「げっ。ほんとか」

「あっ――検非違使だっ」

一せいに、わっと起ったとたんに、突きのめされて、小次郎は、燃え残りの焚火の上に、尻もちをついた。

「あわてるな。いつもの山の穴へ」と、不死人は、われがちに逃げまどう仲間へ叱咤しながら、一方の腕に、小次郎のからだを引ッつるし、山門を横に、山寄りの地勢へ向って、駈け出してゆくと、彼すら予測し得なかった物蔭から、一陣の人影が、列をすすめ、ばらばらと、虚空には羽うなりを、地には空走りの音を立てて、無数の矢を、射集めてきた。