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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

将門を悪しざまにいいさえすれば、実相を深くも見ないで、

「……さもありなん。さもそうず」

と、肯定してしまうような公卿一般の先入主であった。

放置してはおけないという朝議である。

「武蔵へ下す国司には、誰ぞ、よほど不屈な人物をさし向けねばなるまい」

として、新たに選ばれたのが、百済貞連であった。

この貞連が、武蔵の新任知事として、東国へ下向してから数ヵ月の後に、将門の旧主たる太政大臣家――藤原忠平は、余りに紛々たる将門の悪評と、そして朝議がすでに彼を謀叛人視している事からも、

「すておけまい」

とあって、忠平は特に、中宮蔵人多治真人に、教書をさずけて、

「なお一応。事の実否をあきらに糺してまいれ」

と、東国へ立たせた。

真人が、糺問使として、東国へ向うと聞いたとき、忠平の子息の九条師輔や大納言実頼たちは、口をそろえて、

「おそらくは、真人が下っても、何の益にもなりますまい。さきには、貞盛の訴えもある事です。彼が、尊属を殺して、所領をひろげた結果、勢いに誇って、ついに今日では、朝廷も憚らず、官に抗しても、なおその暴欲をほしいままに伸ばそうとしている事は、余りにも明白です。