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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

そうした大部落と大部落とが、数里のあいだに接し合っていた。そして聚落の殷盛な炊煙が朝夕に立ち昇っていたものと思われる。

こういう郷里に、国分寺時代の創建にかかる大宝八幡があるのは不自然ではない。境内も広かったであろう。大宝沼の水が、社前の木立の間から眺められ、楼門の外には、門前町の賑わいが見られ、いずこの郷にもあるように、ここにも酒亭や遊女が住んでいた。また、緋の袴、白絹をまとい、髪をすべらかして、面を白く粧った怪しげな巫女たちも、社家や町の辻に、ちらちら姿を見せていたに相違ない。――とにかく、坂東特有な土くさい新開地的な文化と、神祭的な色彩と、そして附近の官衙に住む支配族の取りすました雰囲気とが、ごみごみと、人里の臭いと騒音を醸しあっていたものといっていい。

ここへ。

戦捷の誇りに昂ぶりきった数千の兵馬が、こみ入って来たのである。

しかも、時は、正月でもあったし、大宝八幡を中心として、おそらく未曾有な混雑と活況が、この土地を沸きかえしたことであろう。どう分宿しても、夜営しても、収まりきれないほどだったろうし、夜は、酒や女を漁る将兵の影が、うす暗い、しかし、俄に激増した人家の灯を、あちこち覗き歩いて、夜もすがら、怪しい嬌笑や、悲鳴に似た悪ふざけや、酔っぱらいの濁み歌などが、寒さも知らずに沸いていたかと思わ