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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

よつて、謹で、詔使のいたるを待つ。

然るに、常陸介維茂の息、為憲、みだりに公威をかり、冤枉を逞しうす。ここに将門の従兵、藤原玄明の愁訴により、その実をたゞさんと、彼の国府に赴く。

為憲、明に、貞盛と協謀し、三千余の兵を発し、恣に、兵庫の器仗をとり出して、戦ひを挑む。こゝにおいて将門、やむをえず、士卒を励まし、為憲等が軍を討ち伏せたり。これ、介ノ維茂が、子息為憲に、訓へざるの致す所なり。

将門、本意に非ずといへども、すでに是を討伐す。罪科、軽からず、自首に及ぶところ也。たゞし、将門とて、柏原帝五代の孫、たとひ国庁を領するも、豈、当らずとせんや。

将門が武芸天授、たれか、将門の右に出づるものあらん。公家、さらに褒賞の典は無くして、しばしば、譴責を下さるゝこと、かへりみれば恥のみ多し。面目、いづこに施さん。推して、察し給はらば、甚だ以て幸なり。

抑※(二の字点、1-2-22)、将門少年の日より、名籍を太政大殿に奉ずる今に十数年、相国摂政の世に、思はざりき、かゝる匪事を挙られんとは。

まことに、歎息の至りにたへず、将門、立身の計を思ふといへども、何ぞ旧主の貴閣を忘れんや。