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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁
「おお。あれは……」と、仰山に、鑽仰の所作をよろしく演じて、「――まさしく、八幡大菩薩」と、ひれ伏した。
鈴の音が、堂を揺すぶった。たくさんな鈴の音の数ほど、天女に扮した巫女が現われ、綾羅の袂や裳をひるがえしながら、大勢の頭の上へ、五色の紙蓮華を、撒き降らした。
そして、風のように、天女たちは姿をかくし去ったが、たったひとり、あとに、森の巫女だけが、立ち残っていた。それが、趣向の眼目とみえ、彼女は、高貴な神の使わし女のような化粧と扮装をし、笏を胸にあてて、眼をとじたまま、息をしているのか否かも分らないほど、肉感のない形相をしていた。――よく神降りをやる巫女が、いちど悶絶して、それから、うわ言のように、神のことばをしゃべり出す――あのときの凄味をもった顔なのである。
泥んこ余興
森の巫女の姿と、そしてその顔を見たものは、誰もが、酒の気をさまして、一瞬、しいんと、満堂、水を打ったような鬼気にとらわれてしまった。
迷信は、都の貴族ばかりにあった病弊ではない。未開土にはまたもっと素朴な原始教そのままの祟りとか、禁厭みとか、仏罰神威などが、盲信されていた。
これは、たれかが演出させた余興である、茶番狂言にすぎないのだ――とは、満座のすべては知っていたが、森の巫女の魔芸は、そう知りぬいている人々をも、ひっそりさせてしまっ