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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

ところが、こんどは、捨ておけない。坂東の将門は、皇位を僭称し、みずから、いる所を、王城に擬し、左右の大臣を任命したり、一夜拵えの文官武官に、勝手な除目を与えて、その勢威は、ほんとうの天子のようだという噂が、都じゅうに拡がった。

これには、忠平も、暗然として「……ば、ばかな奴だ」と洩らしたのみで、もう将門については、一言も触れる容子はない。

「純友の平定には、さらに、援兵を急派し、摂津から兵船百艘をさし向けました。……が、将門には。……やはり討伐の軍には、誰かを以て、征夷大将軍に任命しなければなりますまいな」

兄弟が、老父の意見を求めると、忠平は、そっけなくいった。

「なに、軍の編成。そのような手続きは、分りきった事であろうが」

「しかし、征き人がありませぬ。誰も、それを望んでいないらしいので」

「朝命でもか」

「いえ、まだ、綸旨が下ったわけではありません。今は、人選に、迷っておるので」

「何を、ぐずぐずしておるか。廟議に諮れ。廟議に」

やがて、藤原忠文に、白羽の矢が立った。

すでに、一月に入っていたのである。忠文へたいし、征夷大将軍として、賊を平定せよとの勅命が降った。