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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

ちかごろ、宮廷のうちも、際だって、華美になり、むかしは、天皇のほかには着なかったような物を、一介の史生や蔵人も着かざったり、采女や女房たちが、女御更衣にも負けずに艶を競ったり、従って、風紀もみだれ、なおかつ、廟議や政務にいたっては、てんで、怠り放題な有様である。

こういう大官や宮廷のもとに、ひとり刑部省や兵部省の官人たちだけが、精勤とまごころを以て、服務を看ているはずもない。――かれらは彼らの領野において、やはり同じ型の逸楽と役徳をさがして時世に同調している。群盗にとってありがたい御世たる所以のひとつである。

こんなふうに、ここ輦溜りの供待ちで、小次郎が、毎日、見ること聞くことは、なに一つとして、ろくな事ではない。

「下司は、口さがないものというが、まったく、うるさい京雀だ。この人たちは、人間の醜いところと、世の中の汚いところばかりに興味をもっている。そんな裏覗きばかりしないで、もっと、人間と此世の、いい所、美しい所も、少しは、見たらどうだろう」

小次郎は、時には、ひとの放談に、われを忘れて、おもしろがりもしたが、また、折には、腹が立って、なにか、反抗して見たくもなった。