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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

だが。――それには触れるいとまもなく、彼は、繁盛から今、ことばをかけられたのがうれしかった。従兄弟といえば、血は他人よりも濃い、いや、他人にしても、異郷千里のこの京都で、初めて、同じ故郷の、同じ坂東平野の土に育った人間に会ったのである。なつかしさ、うれしさ、小次郎は、淡い郷愁と同時に、大きな力強さを感じた。

彼のこの気もちは、決して、誇大な感傷ではない。その頃――人皇第六十代、醍醐帝の皇紀一五九〇年という時代の日本のうちでは、畿内のそとはもう“外国”といったものである。東国といい坂東といえば、まるで未開人種の国としか扱っていなかった。

たとえば、陽成帝の元慶の五年五月には、在原行平が、奨学院という学校を新たに興したが、そのときに、物部斯波と連永野という二名の史生が、折から上洛中の陸奥の民の代表者をつれて来て、講堂で、東北語の対訳をして、聴かせたりしている――そして、この二人は、東北語の通訳官としても、朝廷に功があったというので、同年、各※(二の字点、1-2-22)、従五位を授けられたほどである。

この異郷の空で、小次郎が、たまたま、同じ坂東者に、出会ったのであるから、繁盛を見る彼の眼が、従兄以上な、ある、同血種の親しみとなつかしさを感じたのは、決してむりなことではない。