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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《平の将門(たいらのまさかど)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 頁

青空文庫

それもあって、官職を得、早くから京都へも出て、大番も勤めたり、また近年、下野ノ掾を任ぜられ、その系図、縁故、京都との折衝などにおいて、いよいよ地方的な勢力を加えていた。

ところが。――去る延喜十六年の事である。秀郷の腹心の配下が、国司にタテを衝いて、いたく辱められた。法規と腕力の抗争となり、果ては、血を見るような私闘となった。同族のうけた辱めには、理非を超えて結束することの強いのが、彼等の特質であり、また、族長をいただく者の自然な生態でもあった。

秀郷は、まだ、四十前の、血気旺盛である。いかでか看過し得んというところだ。彼は、家人郎党を糾合して、国司の庁を襲撃した。そして獄をひらいて、同族の囚われている者を奪い返し、凱歌をあげて、わが館へひきあげた。その際、幾人かの司庁の役人を殺傷し、また、火を放って、官倉を焼いたり、騎虎のいきおいとはいえ、相当な乱暴を働いたのである。

これは、直ちに、中央に早打ちされ、朝廷、摂関家でも、由々しき事とし、問罪の軍を、さし向けられようとした。秀郷一族も、それにこたえて、戦備をととのえ、事重大になるかと見えたが、多少、都にいて、中央の地に呼吸し、また、藤原氏のたれかに、縁のつながりもある彼としては、無謀は愚と、すぐ覚った。