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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

「来たかも知れませんが、あんまりびっくりして、合図を聞き漏らしてしまいました」

「合図は」

「口笛で――でも昨夜は、お隣に尺八の復習がありましたから、口笛が紛れて聞えなかったのかも知れません」

「お前と専次の逢曳を、家の者は誰も知らないのか」

「知っていて知らん顔をしているのかもわかりません」

これがお夏から聴き出した全部ですが、事件の真相は、次第に解ってくるような気がします。お夏の言ったことを条件書にすると、――

少なくとも、「死体には最初脇差を突き刺したままであったこと」、「その血刀を誰かが引抜いて、どこかへ隠してしまったこと」、「ちょうどその時刻に、専次が来るはずであったこと」、それから、「お夏と入れ違いに二階へ登った人間のあること」、「茂七がピカピカする脇差を持って、二階で騒ぎ出したのは、それからかなり経った後であること」――以上の通りになるわけです。

最後に下女と小僧を呼出して調べましたが、これは灯のない店とお勝手で居睡りしていて何にも知らず、ただ変ったことは、

「お神さんは、来年は五十五だというのに、近頃は大変若造りで、そっと白粉を付けたり、髪を染めたり、思い切って派手なものを着るようになりましたよ」