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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁
四
いつぞや浜町の浪花屋の主人が、払いに困って、三千両を盗まれたと届出た例のあるのを思い出したのでしょう。
「馬鹿、――つまらないカンなんか働かせて、人様の物笑いになるよ。それよりこの町内を始め、浜町から両国へかけて、何か変ったことがないか見て来るがいい。船で逃げたんでなきゃ、下手人かその相棒はまだこの辺にウロウロしているに違いねえ、あれだけ小判をバラ撒いて、眺めていることだろう」
「なるほどね」
ガラッ八は飛出しました。
平次はその上帳面まで見せて貰いましたが、大黒屋も、五千両盗まれた上、また半日のうちに、五千両纏めるのには困った様子ですが、商売の方は行詰った様子もなく、一つの土蔵の中には、穀物が一パイ、一つの土蔵の中には、金に飽かして買い込んだ、骨董什器が一パイ入っております。
四
「親分、ちょいと」
ガラッ八は四半刻(三十分)ばかりすると帰って来ました。
「何だ、八」
「変な野郎が居ますよ。よっぽど引っ括って来ようかと思いましたが、親分に訊いてからと思って、そっと帰って来ましたが」
「何だ、それは?」
「今日は両国稲荷の縁日でしょう」
「それがどうした」
「大道見世物や、露店が二三百出ますぜ」