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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

二

二十三四の惜しい男振りです。

「こんなひどい目に逢わされました。親分さん、どうぞ、仇を取ってやって下さいまし」

そう言う惣吉の顔に、皮肉な表情のあるのを、見のがすような平次ではなかったのです。

「その強盗が、私に似ていたそうだね」

「ヘエ――」

と惣吉。

「これこれ、失礼なことを申上げては――」

主人の徳七はあわてて止めましたが、

「背の恰好、反り身になる時の具合、お言葉の様子、そっくりと申したいほどでございますよ」

眼一つ潰された怨みのせいか、惣吉は歯に衣を着せません。

「その上、十手を持って歩いて、投げ銭まで器用では、本人の俺が見ても疑いたくなるだろう。まアいい、そのうちに尻尾を掴んで、仇を取ってやる折もあろう」

平次はそんな事を言って、そこそこに引揚げました。

悒鬱な四月空、桜は散りましたが、梅雨前の気圧が、妙に人間の心を灰色に沈ませます。

二

「親分、次は」

「車坂の質屋だ」

五軒目が桔梗屋喜兵衛、ここでは偽平次、一家残らず縛り上げて、有金百両余りと、少し浮気っぽいという評判はあったが、下谷一番と言われた小町娘のお藤をさらって行ったのです。

「ツイ十日ほど前の晩でございました。