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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

五

「それから」

「お咲さんも来たようです」

「誰だい、お咲さんというのは」

「番頭の和助さんのお神さんで、――もっとも年は少し上だそうですが」

「それから」

「下女や、小僧も飛んで来ました」

「お夏は?」

「見えなかったようです。もっともしばらく経ってから来ましたが、何でも気分が悪くて、夕飯の後ですぐ寝てしまったそうで」

「それっきりか」

「ヘエ――」

茂七は何もかも言ってしまった安心さに、緊張のうちにもほっとした様子です。

五

次は番頭の和助、四十男ですが、日蔭の冬瓜のように青白くて、せいぜい三十五六にしか見えません。妙に華奢で、滑らかで、金貸の番頭には不向きらしく見えますが、案外こんな人柄のが、一番強かな魂を持っているのでしょう。

お米の手足になって、ずいぶん残酷な取立てをするという評判をとった人間です。

「親分さん、御苦労様で」

「番頭さん、幾つだい」

平次は妙な事から訊き始めました。

「本年は前厄でございます」

「たいそう若く見えるね」

「御冗談で」

「ところで、お神さんが殺された時は、何をしていたえ」

「階下に居りました。明日の取立てのことを考えていたところで」

「傍に誰も居なかったのか」