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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

八

「あれエ」

蘭塔場の中へ潜んでいたらしい別働隊の二三人、バッタのごとく飛出すと、

「え、しぶとい女だ、今度は命がねえぞ」

二三人折重なって、そのまま大地へめり込むように、お雛も一緒に消えてなくなりました。

こうなっては、荒れたところで仕様がありません。

平次は向って来る一人の大男を突き飛ばすと、身をかわして道具裏の闇へ。

「それ、逃がすな」

一団になって襲いかかるのをやり返して、どこともなく消えてしまいました。

八

化物屋敷は、その翌る日も、事もなげに木戸を開けました。幸か不幸かその日は物日、客は朝から突っかけて、狭い化物小路は身動きもならぬ有様です。

正申刻、大道具大仕掛の特別な見世物があるという噂は、どこからともなく客の間に伝わって、昼頃から入った客は、もう動こうともしません。小屋の中はハチ切れるばかり。

「蘭塔場へ出る幽霊が出ねえのはどうしたわけだ」

「今日は特別の大仕掛な見世物があるって言うぜ、多分そこで見せるんだろう」

といった囁きは、口から耳へ、耳から口へと伝わって、蘭塔場から、見越しの入道の張抜きを飾ったあたりは、塩辛くなるような混雑です。

やがて申刻少し前、この化物屋敷の興行元、轟の権三は黒羽二重の紋付に、長いのを一本落して、蘭塔場の舞台にツイと出ました。