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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁
五
「いえ、それでも」
「馬鹿な事を言うのは、好い加減にするがいい。後見のこの叔父が言い付けるのだ、病人などを引合に出すことはない」
「…………」
「どうだ、浪江、返答を聞こう。次第によっては、明日にも祝言をさせ、――いや祝言より先に、親類方の同意を得て、公儀へお届を済ませなければならぬ。異存はあるまいな」
「いえ、叔父上様、厭でございます。父上様直々のお言葉がないうちは――」
「どうしても強情を張る気か」
「…………」
「仕方があるまい。もう一と責めだ」
滝三郎はハネ釣瓶を鳴らして、一杯くみ上げました。
「浪江、少しは涼しいぞ」
頭の上に高々と翳した釣瓶を覆すと、颯と銀色の滝が、娘の頭上へ――。
「アッ」
浪江は流しの板の上に叩きのめされました。一杯の水が、処女の全身を洗って、乱れる黒髪も、青白い身体も、紅い腰巻も、そのまま湧き上がりそう。
それを見ると、たまり兼ねたガラッ八。
「己れッ」
物置の闇から飛出そうとするのを、平次は大骨折で羽交締めにしながら、
「馬鹿ッ、黙って見るんだ」
一生懸命に囁きます。
五
続いて二杯三杯。
娘は飛瀑に打たれた女行者のように、流しの板に崩折れて声も立てずにのた打ち廻ります。