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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

五

「親分、まだ幻の民五郎が家の中に居たらどうしましょう、捜してみて下さいませんか」

「大丈夫ですよ、御新造、その大きな足跡は大一番の草鞋を履いて付けた跡で、帰りにはそれを脱ぎ捨ててしまいましたよ」

「まア」

「ちょっと待って下さい」

平次は庭下駄を突っかけて、しばらく縁の下から庭の植込みを捜しておりましたが、やがて、仁王様の草鞋のような、大きな泥草鞋を一足ブラ下げて帰って来ました。

「まア」

女達の驚きは見物でした。

「この足跡はひどい内輪じゃありませんか」

お紋は鋭い女でした。平次が気が付いているかいないかわかりませんが、とにかく、先を潜るようにいろいろの事に気が付きます。

「それが面白いところですよ、御新造」

「女――まさか」

お紋はぞっとした様子で肩を萎めました。

「幻の民五郎が女に化けるはずはありません。これは忍術の方の忍びの足取りです」

平次は腰を浮かして、内側に爪先立った忍び足をやって見せました。

「忍術?」

お紋はギョッとした様子です。

五

騒ぎは、これがほんの序幕でした。

翌る朝、巣鴨の往来――ちょっと人に気付かれない塀の蔭に、三好屋の隠居が突き殺されているのが発見され、続いて、お紋の家の隣、界隈の物持で通っている植木屋へ、型の通りの怪盗幻の民五郎が入って、小判で二百両あまりの金を奪った上、主人惣吉の土手っ腹