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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

「親分、当りは付きましたか」

ぬっと横合から拙い顔を出します。

「いや、まるで解らねえ」

「ヘエ――」

「ところでガラッ八」

「ヘエ――」

「烏というものは、飼い鳥ではないな」

「そりゃア言うまでもありません。東天紅ともホオホケキョーとも鳴く烏はねえ」

「黙って聴け」

「ヘエ――」

「どこの鳥屋にも、烏がいた例はあるまい。堂宮にも烏は飼ってねえな」

「ヘエ――」

「何とか言えよ」

「黙って聴け――って言ったじゃありませんか」

「融通のきかねえ野郎だな――、ところでお前は、烏のいた場所を知ってるか」

「知ってますとも、奥山にも上野の森にも、向島にも――」

「馬鹿ッ」

平次は黙々として歩き続けました。

「あるよ、親分」

不意にガラッ八。

「あッ、吃驚した、何があるんだ」

「忘れちゃいけねえ、烏を飼っている家」

「何、何だと、烏を飼っている家がある? どこだ、サア言え」

「言いますよ言いますよ、胸倉を掴まなくたっていい」

「娘一人の命が危ねえんだ。手前の咽喉仏などを可愛がっていられるか」

「驚いたな、どうも」

「手前は話に無駄が多くていけねえ、烏を飼っている家てえのはどこだ」

「奥山に近頃出来た化物屋敷ですよ」