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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

「ずっと、中へ入るがいい、――少し聞きたい事がある」

「ヘエ――」

「外ではない、柳橋の芸妓殺し、石原の利助が呑込んで、布袋屋万三郎を挙げたんだが、どうも下手人らしくない」

「えッ、それは無法、――いえなに、石原の兄哥の眼鏡違いと言っちゃ悪いが、万三郎が、あの女を殺すわけがございません」

あまりの事と言わぬばかりに、――平次の口調はひどく弾みます。

「ホウ――、それはどういうわけだ。余程確かな事を握っていなければ、そんな事を言えるわけはない、話してみるがいい」

「ヘエ」

そう言われると平次も当惑しました。確かな証拠といっては一つもありませんが、何となく平次の第六感に、そういった響きがあるというだけの事だったのです。

「万三郎は、あの晩お前の袖に小判を落して、ひどくお前に怒られたというではないか」

どこから聞いたか、新三郎はつまらぬ事まで見透しです。

「ヘエ」

「平次の気風を知らなかったのは、万三郎の手落ちだ。そんな厭なことをするところをみると、万三郎の心持に、やましいところがあると思うが、どうだ」

「それは旦那様、お考え違いでございましょう」

「どうして」

「人殺しの下手人が本当に万両分限の万三郎なら、五両や三両で岡っ引の口を塞ごうとはしません。