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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

「…………」

「あの下手人はもう挙がりましたでしょうか。押付けがましいようですが、少しわけがあって、それを伺いに参りました」

言いにくそうですが、それでも案外、スラスラとやって退けて、平次の顔を下から艶かしく見上げます。

「いや一向――私には見当も付かなくて困っている。石原の利助のところへ行って聞いてみなさるがいい、石原のは、何か当りが付いたということだ」

「ヘエ――、石原の親分じゃ伺うまでもございません」

妙に奥歯に物の挿まったような微笑を浮べて、腰を浮かします。

「あ、もう帰りなさるのか」

「いずれまたお訪ね申上げます。それでは親分、お喧しゅうございました」

「あッ、待った、お前さんの名は何と言いなさる、それから町所は――」

「いえ、それには及びません。用事があればまた私の方から参ります、それでは親分さん」

丁寧に会釈をしたと思うと、滑るように戸口を出て、ツ、ツ、ツと路地の外へ。

「八」

「ヘエ――」

「頼んだぞ」

「合点」

ガラッ八は女の後を追って外へ飛出しましたが、しばらくすると、つままれたような顔をして帰って来ました。

「どうだ、八」

「親分、ありゃ人間じゃありませんぜ。