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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁
「何をやらかしゃいいんで、親分」
「耳を貸せ」
何やら打合せて平次は、羽織を引っかけると、どこへ行くとも言わずにフラリと飛出してしまいました。
最初は本郷丸山町の荻野左仲の屋敷。
丁寧な口上を取次がせて、用人大沢幸吉に逢い、一刻余りも話し込んだ上、そこを出ると、巣鴨の荻野家の別荘――今はお紋の宿へやって来ました。
その時はもう夕景。
「あら、平次親分、随分久し振りじゃありませんか」
お紋は相変らず機嫌よく迎えてくれて、奥の一と間へいそいそと案内しました。
「御新造、すっかり御無沙汰しました。曲者は逃がす、幻の民五郎は重三兄哥に捕まえられる、いやもう平次もさんざんの体で、一時は十手捕縄をお上へ返上しようかと思いましたよ」
平次は本当に悄気ている様子でした。
「そんな事はありゃしません。平次親分は、曲者の羽織を掴んで、動きの取れぬ証拠を押えたり、足跡や草鞋から、いろいろの事を言い当てなすったり、畠の中から短刀まで捜し出したじゃありませんか。御遠慮も場合によります、お目にかかってお礼を申上げたいと思って、何べんお迎いを差上げても、いらっしゃらないんで、どんなにお怨み申上げたことか――」