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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(五)金の鯉
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁
「そんな事でいいだろう、次は千代次郎を呼んでくれ」
「ヘエ――」
入れ違いに甥の千代次郎、これは二十五六のお店物風の男ですが、ガタガタ顫えるばかりで、何を訊いても埒があきません。
「この身上がお前のものになるそうじゃないか」
「へ、ヘエ」
「叔父さんを誰が殺したか、見当が付くかい」
「へ、ヘエ」
「一度死んだ人がまた殺されたのを見て、どんな心持だったい」
「へ、ヘエ」
平次は諦めるより外に仕方もありません。真物の孫右衛門を幽霊と間違えて、無我夢中で刺したのならこの男に間違いありませんが、それにしては下手人の手際が良すぎます。悲鳴の後で廊下にマゴマゴしていたにしても、勘次に突当られて引っくり返らないだけの土台が、この男にあろうとは思えなかったのです。
この時、
「親分」
ガラッ八の八五郎が顎を出しました。だいぶ収穫のありそうな顎です。
「こっちへ入れ」
千代次郎を帰して、平次の顔は憂鬱です。
「匕首は草間六弥のものですよ。もっとも近頃は棚の上のガラクタ箱の中へ投り込んだままだった――て言いますが」
「才吉の費い込みは?」
「二十や三十はあるかも知れませんが、大したことはないようで」