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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(五)金の鯉(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,062 字 · 276 頁

青空文庫

とりわけ姪のお徳には、言うに言われぬ怨みもあったろうが、人一人殺しておいて、その死骸の側にケロリとして付いているお徳の大胆さに、気の弱い福三郎は怖ろしくなった。たった一と晩だが、お徳には、自分から離れて行く福三郎の心持がよく解るし、その上、気の弱い福三郎は犯した罪に怯えて、いつ白状するかもわからない。お徳にも恋より四千両の金が大事だった。予て何となく用意した岩見銀山を三包、福三郎の持薬と摺替え、あっしの家へ来て、その間に福三郎に飲ませるように仕向けた――」

「…………」

「帰って来ると誂え通り福三郎は死んでいた。早速残った二た包の毒薬を隠そうと思ったが、その隙がない。帯の間に忍ばせて、ともかく、大芝居に取りかかった――」

「違う、みんな嘘だ」

お徳は必死の声をあげました。

「まだそんな事を言うつもりか、お徳」

「四千両どこにある。それを見付けなきゃ、お前の言う事はみんな拵え事じゃないか。私の帯の間から出た薬の外には一つも証拠はない」

お徳の言うのは尤もでした。

「四千両」

「千両箱が四つ」

主人市兵衛始め、居並ぶ人々の口から同じ絶望的な言葉が吐き出されます。

「あんな重いものを、女や手代の手で、どこへ持って行けるものか」