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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
お仙の言葉は思いの外でした。
「喧嘩をするような事もあったろうな」
「お恥かしいことでございます」
「お駒が死ねば、房五郎の跡取は定吉ということになるだろうな」
平次の問はいよいよ突っ込んだものでした。
「そんな事になりましょうか」
「房五郎の身上はどんなものだろう」
「あのとおりの渡世で、何ほどのものもございません」
「房五郎はお駒を大層可愛がっていたそうだが、お神さんは良い心持ではなかったろうな」
「何とか良い心持になろうと骨を折りました、みんな私の至らぬからで」
お仙は涙ぐんでいる様子です。
「定吉とお駒と一緒にするような話はなかったろうな」
と平次。
「一つ違いで、兄妹と言っても、赤の他人ですから、本人同士がその気なら、一緒にして一生側で暮したいと思いましたが、こればかりは親の儘にもなりません、定吉はあのとおりで――」
「定吉はお駒のことをどう思っているだろう」
「それはもう、お駒は綺麗ですし、定吉も年頃の事で――」
ここまで行くとお仙ははっと言葉を切りました、うっかり倅の定吉――あの智恵の足りない定吉に、あらぬ疑いが行ってはならぬと思ったのでしょう。
「それで?」