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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens

Aozora Bunko

七

多分、全国の泥棒どもが年に一度の顔寄せに、お互の功名を誇り合った上、獲物を何かの方法で分配でもするのでしょう。

「平次、しっかりやれ、これは容易ならぬことだぞ」

笹野新三郎は平次の腕に期待をかけます。

七

平次は笹野新三郎と打合せて、八丁堀を繰出したのは暁の寅刻(四時)。霜を踏んで倉賀屋から、『さざなみ』の前後を、すっかり取囲ませました。

『さざなみ』に行って一応ガラッ八の様子を見ようと思いましたが、なまじそんな事をして、曲者に用心させてはと、手先捕方を隙間もなく配置し、ともかく夜の明けるのを待つことにしたのです。

「何と申しても、怪しいのは倉賀屋でございます。自分の持家を寄合に使っているのを、知らないはずはないのに、何かと胡麻化すことばかり考えているようで、あの総七という主人は油断がなりません」

平次は倉賀屋へ第一番に疑いをかけた上、手に及ぶかぎりの下っ引を動員して、二人の虚無僧の落着いた先を調べさせました。

「夜が明け切っては、近所の家で驚く。もうよかろう平次」

笹野新三郎は若いだけに功名を急ぎます。

「それッ」

平次の号令につれて、前後左右から倉賀屋の囲みを絞ったのは寅刻半(五時)頃。