Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
六
「お前の智恵じゃあるまい」
「霍乱になる菓子を捨てるくらいの智恵はあるよ」
「よしよし、お前は思いの外悧巧そうだ、がこれは隠し切れる事じゃないよ」
平次はそれっきり手を引きました。
「…………」
うな垂れると、紫色に見える首筋、やはり女の子らしく、白粉ぐらいは塗りこくるのでしょう。それが脂と埃に交って、地色の褪赭を紫色に仕上げているのです。
六
事件はその日のうちに飛躍的な発展を遂げました。
「親分、変なのが来ましたぜ」
ガラッ八が面喰って取次いだのは、その日の昼近い頃です。
「二本差か」
「いえ、こればかりは親分も見当が違いましたよ、椎茸髱で」
「丁寧にお通し申すんだ」
「ヘエ――」
道化た様子で取って返したガラッ八は、まもなく椎茸髱――というのは大袈裟ですが、少なからず御守殿の匂いのする、三十前後の女を案内して来ました。
「私は小堀和泉守様御上屋敷に仕えております、早瀬と申します、御見識りおきを――」
三つ指が縁無し畳の上を滑って、小笠原流にピタリと極るのを、銭形平次さすがに持てあまし気味でした。
「ヘエ、あっしが平次で、――御用は何でございましょう」
「内々にお願い申上げたいことがございます、お人払いを――」