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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
二
近いうちに何か起るに違いない」
「それは心得ていますよ」
「それから、今度河内屋へ行くついでがあったら、その煙草入を借りて来い」
「そうくるだろうと思って、持って来ましたよ。河内屋でも世間へ知らせたくないから、そっと調べてくれという話で」
「それはいい塩梅だ。八がそれほど気の付く男とは知らなかったよ」
「へッ、その積りで付き合って貰いやしょうか」
「馬鹿」
「こいつは落雁や羊羹じゃ安いや」
八五郎はそう言いながら、懐中煙草入を取出しました。少し古色を帯びた金唐革、柘榴を彫った金銀金具、少し逞しいが目方の確りした銀煙管まで、いささか野暮ったくはあるが、その頃には申分のない贅沢な品です。
中を開けてみると、粉煙草が少々、薩摩や国府でもあることか、これは刻みの荒い、色の黒い、少し馬糞臭い地煙草ではありませんか。
「八、一杯買おう、こいつは面白そうだ」
平次はそう言いながら、恐ろしく念入りに煙草入を見ております。
二
平次の予言は美事に当りました。それから三日目、ガラッ八の八五郎は、髷節を先に立てて飛んで来たのです。
「大変ッ、親分」
「また大変かい、どこの新造に口説かれた」