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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
二
おや、裏返しだぜ。骨が外へ向いてけつかる、どっこいしょ」
平次はまだ障子と角力を取っております。
二
八五郎は平次を引っ担ぐようにして、どうやらこうやら帳場まで降りて来ました。
帳場に坐って居るのは、中年の番頭が一人。
「お帰りで? 親分さん、毎度有難う存じます。またどうぞお近いうちに」
「とんだ騒がせたね、済まねえ」
平次はフラフラと首をしゃくって、草履を突っかけます。鼻緒がなかなか足の指にはまりません。
「つまらないものでございますが、どうぞお手拭きになすって下さいまし」
番頭は帳場の側へ二た山に積んだ、お年玉の手拭のうちから白地のを二本取って、平次と八五郎に渡しました。
「有難てえ、遠慮なしに貰って行くぜ。ところで番頭さん、俺はこう見えても大の親孝行者なんだ」
「ヘエ、ヘエ、結構なことで――」
「お袋は取って六十七だが、白地の手拭は汚れっぽいからと言って、浅黄の手拭でなきゃ、どうしても使わねえ」
「…………」
「お安い御用だ。ひょいと一本だけ、その浅黄の方と換えてくんな」
平次は貰った手拭を下へ置いて、番頭の方へ手を出しました。
「御冗談で、――親分さん。その白地の方が品がぐっと良くなりますよ。