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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
「おや? お前さんの足は?」
驚いたことに、宗太郎の大跛が、いつの間にやら癒っているではありませんか。
「気が付きましたかえ、お品さん」
「えッ」
「お品さんが跛を嫌ったように、私も跛の真似は大嫌いさ。二た月越しの辛棒は貸金二千両を掻き集めて、お品さんを手に入れたいばかり」
「お前さんは?」
「宗太郎の弟の宗次だよ」
「えッ」
「驚いたろう、お品さん、跛の意気地なしのしわん棒の兄貴と違って、私は丈夫で威勢がよくて、金離れの良いのが自慢さ。行こうぜ、兄貴から持越した恋だ」
これが曲者、とはっきり判ると、お品も思わずギョッとしました。
「あれッ」
「どっこい、お品さんは尋常な音をあげる娘さんじゃなかったはずだ。二千両ありゃ当分の暮しに困るまい、双生児宗次の女房は悪くないぜ」
お品の口を塞ぐと、扱帯を解いてキリキリと縛り上げました。柄に似ぬ非凡の力で、お品などは羽搏もさせることではありません。
そっとおろしたのは、軽舸の中。
「その菰の下には小判で二千両あるんだ、大した寝床だぜ。灯は禁物だが、しばらくの我慢だ。塒へ帰れば、存分に可愛がってやるぜ」
頬から頬へ、そっと通う体温、お品は眼がクラクラするほど憤りを感じましたが、無抵抗に、小判の上に寝かされて、どうすることも出来ません。