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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
「待ちな、八」
「ヘエ――」
「研屋廻りは昼だけで沢山だ。日が暮れたら俺の方へ手伝ってくれ」
「何をやらかすんで――? 親分」
「辻斬を追い出すのに、どうも一人じゃ手が廻らない。今晩から二た手に別れて、右左から、東西から、南北から――という具合に漁ってみようと思うんだ」
「そいつは危ないネ、親分」
「なアに、手前は逃げ廻っていりゃいいのさ」
「逃げる前にバサリとやられそうですぜ、親分、どうもこの二三日夢見が悪いと思った」
ガラッ八は甚だ気が進まない様子です。
「仕様のねえ野郎だ。それでお上の御用が勤まるかい、馬鹿野郎」
「やりますよ、親分、やらないとは言やしませんよ」
「それじゃこうしようじゃないか、手前は十手をひけらかして、御用の提灯をブラ下げて歩くんだ。どんな酔興な辻斬だって、手先御用聞を斬るようなことはあるめえ」
「それならやりますよ、親分」
勇猛なガラッ八も腕の利いた辻斬には怖じ気を振っております。
「獣を追い出しゃ、手前は役済みよ。それなら、どんな唐変木でも勤まるだろう」
「まるで勢子だね、親分」
「その気で、日が暮れたら打合せに来るがいい」
「ヘエ――」
ガラッ八は器量が悪く立ち去りました。