Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens

Aozora Bunko

が、威勢よくガラッ八を叱り飛ばした平次の方も、何の成算があるわけではなかったのです。

そのうちにも、事件はますます急迫しました。平次がそんな計画を樹てているうち、辻斬の暗躍は休んだわけではなく、十二日の間に三ヶ所ばかりで、脅かされたり斬られたり、外神田一帯、ますます物情騒然たる有様です。

思い立ってから十五日目、物持の隠居が、碁か雑俳の集まりから帰るといった恰好で、平次は佐久間町三丁目から筋違橋(今の万世橋)の方へ辿っておりました。

薄寒い月のない晩で、頭巾に顔を隠すには好都合ですが、着膨れて、懐手までしているので、何となく掛引の自在を欠きそうです。

佐久間町一丁目、本田唐之助屋敷角まで来ると、往来はハタと絶えて、左手は川岸っ縁まで空地、右手は屋敷の塀で、しばらくは淋しい道が続きます。

平次は小腰を屈めて、杖などを突いておりました。右手は懐に入れたまま、時々頭巾の眼庇をあげて、月のない空を仰いでみたりしているのでした。

この上もない遅々たる歩み――、来るなら今だという風にもそれは見えます。

屋敷の角を曲って、筋違橋の方へ出ようという時、

「え――ッ」