Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens

Aozora Bunko

銭形平次は際限もなく浴びせながら、滅茶滅茶に饒舌り捲って二階中の客を沈黙させてしまいました。

四組のお客は、それにしてもなんというおとなしいことでしょう。そのころ流行った、客同士の盃のやりとりもなく、地味に呑んで、地味に食う人ばかり。そのくせ、勘定が済んでも容易に立とうとする者はなく、後から後からと来る客が立て込んで、いつの間にやら、四組が六組になり、八組になり、八畳と四畳半の二た間は、小女が食物を運ぶ道を開けるのが精いっぱいです。

「なア、八、本当のところ江戸中で一番儲かる仕事を教えてくれ、頼むぜ」

平次はなおも執拗にガラッ八を追及します。

「泥棒でもするんですね、親分」

ガラッ八は少し捨鉢になりました。

「なんだとこの野郎ッ」

平次は何に腹を立てたか、いきなり起上がってガラッ八に掴みかかりましたが、さんざん呑んだ足許が狂って、見事膳を蹴上げると、障子を一枚背負ったまま、縁側へ転げ出したのです。

「親分、危ないじゃありませんか」

飛び付くように抱き起したガラッ八、これはあまり酔っていない上、どんなに罵倒されても、親分の平次に向って腹を立てるような男ではありません。