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まぶたのはは
長谷川伸傑作選 瞼の母
長谷川 伸
Read 長谷川伸傑作選 瞼の母 (まぶたのはは) by 長谷川 伸 (はせがわしん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,753 characters · 192 screens
(小布れを探して結えてやる)さあ、もういい。あしたの朝、もう癒っているだろうよ。(燧石を摺り、行燈に灯を点ずる)
入口を手荒く開けて、いわしの北公、前より約十年老けている。土間へはいる。入口の外に波一里儀十等が立っている。
北公 (見廻して)ちえッ、薄ッ汚ねえなあ。
お蔦 どなた。おや。
北公 ちょいちょい見掛けるから、万更、忘れっ放しにもなっていめえ、北造だよ。(外の儀十等に)どうかおはいりなすってください。おいお蔦。きょうは船戸の弥八親分の名代に、客人のご案内をしてきたんだ。粗相があっちゃならねえぞ。
お蔦 (ぐッと疳に障ってきたが、我慢して黙っている、お君が怖がっているので手招ぎして抱き寄せる)
儀十 (筋市、根吉をつれて土間へはいる)
河岸山、彦、甚太は外にあり、開放しの入口の外を往ったり来たりしている。
北公 向う地の親分、どうかご遠慮なくお検めください。
儀十 じゃそうしょう。(お蔦に)俺あ川向うの中相馬にいる波一里の儀十だ。
お蔦 どういうことでございましょう。
儀十 こんなこと、俺がじかにいわずともだ。市、訊いて見ろ。
筋市 おッ。(ずッと進み出て)――お蔦、何だそんな面しやがって、お前の亭主に用があってきたんだ。